循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Sleep Disordered Breathing in Cardiovascular Disease(JCS 2010)
【ダイジェスト版】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)
肥満と内臓脂肪
酸化ストレスおよび活性酸素
HIF-1α 活性化接着分子アディポカイン遊離脂肪酸
インスリン抵抗性高血圧
炎症,NF-kB の経路交感神経の活性化
間欠的低酸素睡眠分断および覚醒心血管障害
6 インスリン抵抗性との関連
 インスリン値,HOMA-R指数[homeostasis model assessment ratio:HOMA-R=IRI ( μU/mL)×FPG(mg/dL)÷ 405],糖負荷テスト,グルコースクランプ法などを利用した多くの横断的研究で閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea:OSA)が体重と独立してインスリン抵抗性に関連するとの報告がみられている(図4).国際糖尿病連合(International Diabetes Federation:IDF)の「睡眠時無呼吸と2 型糖尿病に関するIDF合意声明」では「(1)2型糖尿病と睡眠呼吸障害(sleep disordered breathing:SDB),特にSDBで最も頻度が高いOSAに関連がある可能性が,最近の研究によって示されている.OSAの40%がやがて糖尿病になり,糖尿病患者の23%はOSAである.(2)IDFは医療機関に,この2 つの疾患の関連についての研究活動を促進することを求める.(3)1つの疾患を持つ患者に対して他の疾患が伴う可能性を考慮されるべきである」としている.

 OSAとメタボリックシンドローム(metabolic syndrome:MetS)の関連も注目される.一般的には,AHI30≧の重症OSAの60~ 70%以上はMetsを合併していると報告されている.
図4 肥満・内臓脂肪と閉塞型無呼吸の関連及び結果として起こる病態生理
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