循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Sleep Disordered Breathing in Cardiovascular Disease(JCS 2010)
【ダイジェスト版】
2 OSAの自由行動下血圧の特徴
(表27)
OSAの高血圧の最も重要な特徴は,仮面高血圧が多い点と,治療抵抗性高血圧の原因疾患となる点である.これまで,夜間高血圧や,血圧日内変動異常で夜間血圧下降が減少しているnon-dipper型や,逆に夜間血圧が上昇するriser型では,高血圧性臓器障害や将来の心血管イベントや心血管死亡リスクが高いことが広く知られている.さらに,OSAのnon-dipper・riserの特徴として,夜間血圧の変動が大きいことが挙げられる.OSAの夜間無呼吸発作時に,最大の胸腔内陰圧負荷に加え,無呼吸後半から無呼吸が解除される時相に一致して著明な血圧上昇(血圧スリープサージ)が引き起こされる.この夜間血圧サージの増大は,OSAでみられる夜間発症の心血管イベントの誘引になると考えられる.
OSA患者では,昇圧反応が亢進している可能性も示されている.
表27 閉塞性睡眠時無呼吸症候群の高血圧の特徴
◦治療抵抗性高血圧
◦仮面高血圧
◦夜間高血圧(non-dipper・riser型,血圧ミッドナイトサージ)
◦早朝高血圧(血圧モーニングサージの増強)
◦心拍数増加を伴う高血圧
◦若年の拡張期(優位)高血圧