循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Sleep Disordered Breathing in Cardiovascular Disease(JCS 2010)
【ダイジェスト版】
3 治療抵抗性高血圧
(表28)
OSAは治療抵抗性高血圧の原因にもなる.通常,治療抵抗性高血圧は,利尿薬を含む3剤以上の降圧療法を投与中にもかかわらず,診察室血圧が140/90 mmHg未満にコントロールできない場合に定義する.治療抵抗性高血圧の80%以上にAHI ≧ 10のOSAがみられたとの報告や,SASが50歳未満の高血圧患者の血圧コントロール不良の独立した規定因子となることが報告されている.
特に,降圧薬の就寝前投与などの夜間・早朝高血圧に対する特異的治療を行っても,家庭血圧で測定した早朝血圧レベルが持続して高値(135/85 mmHg以上)を示す治療抵抗性早朝高血圧ではOSAを疑う.その際,早朝血圧と就寝時の血圧差(ME差)も参考にする.夜間低酸素血症がME差の規定因子であることが知られている.我が国の高血圧患者においても,ME差は早朝血圧と就寝時血圧の平均値(ME平均)とは独立して,脳卒中リスクや高血圧性心疾患と関連する.
表28 高血圧患者におけるOSAスクリーニング
クラスⅠ
◦治療抵抗性高血圧(エビデンスレベルA)
クラスⅡa
◦夜間尿,夜間呼吸困難,夜間発症の心血管イベントの
既往がある高血圧患者(エビデンスレベルC)
◦正常血圧にもかかわらず左室肥大を有する例(エビデ
ンスレベルB)