循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Sleep Disordered Breathing in Cardiovascular Disease(JCS 2010)
【ダイジェスト版】
4 OSA を考慮した高血圧診療プロセス
OSAを考慮した仮面高血圧の診療プロセスを以下に示す.まず,家庭血圧計により早朝血圧を測定し,そのレベルが135/85 mmHg以上の場合,早朝高血圧と考え,早朝血圧をターゲットとした降圧療法を行う.早朝血圧レベルが135/85 mmHg未満のときは,ABPMを測定し,24時間血圧レベルが平均で130/80 mmHg以上である場合,昼間血圧が高いとストレス性高血圧,夜間血圧が高いと夜間高血圧と考え,それらをターゲットにした降圧治療を行う.以上で夜間・早朝血圧のコントロールがつかない治療抵抗性夜間早朝高血圧であった場合,OSAを疑うことが重要である(クラスⅠ,エビデンスレベルA).また,24時間血圧が130/80 mmHg未満と正常にコントロールされている場合においても,臓器障害の進行例,特に圧負荷の影響を受けやすい左室肥大の合併例ではOSAを疑う( クラスⅡa, エビデンスレベルB).OSAでは,ABPMにより評価した夜間血圧を含む24時間血圧が全く正常レベルであったとしても,無呼吸発作時の- 80 mmHgにも及ぶ周期的胸腔内陰圧により左室壁に強い圧負荷がかかり,高血圧性心疾患が進展する.