循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Sleep Disordered Breathing in Cardiovascular Disease(JCS 2010)
【ダイジェスト版】
5 虚血性心疾患
(表36)
① 冠動脈疾患と睡眠呼吸障害
冠動脈疾患は高率に睡眠呼吸障害が合併していることが知られている.狭心症などの慢性虚血性心疾患における睡眠時無呼吸症候群を有する合併頻度は,これまでの報告では約35~ 40%程度であり,急性冠症候群における睡眠呼吸障害の合併の頻度は,これまで報告されてきている安定型狭心症の睡眠呼吸障害の頻度に比較して著しく高い.
また,夜間睡眠中の狭心症発作とHolter心電図におけるST低下に関連があるとの報告もある.
一方,冠動脈疾患を合併するOSA患者に対して無呼吸の治療を行うことによって,イベント発生率(心血管死亡,急性冠症候群,心不全による入院,冠血管血行再建術)が有意に低下したとの報告がある.
表36 虚血性心疾患に合併する睡眠呼吸障害の治療
クラスⅠ
◦虚血性心疾患患者に合併するOSAに対するCPAP(エ
ビデンスレベルB)
クラスⅡa
なし
クラスⅡb
◦夜間虚血発作を有するOSA患者におけるCPAP(エビ
デンスレベルC)
◦OSA患者に対する動脈硬化進展の抑制を目的とした
CPAP(エビデンスレベルC)