循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Sleep Disordered Breathing in Cardiovascular Disease(JCS 2010)
【ダイジェスト版】
クラスⅠ
◦循環器疾患に伴うSDB確定診断および治療効果の評価
のためのPSG(クラスⅠ,レベルA)
◦Type 2機器を用いて循環器疾患に合併するSDBの診
断・治療を行う(エビデンスレベルA)
クラスⅡa
 なし
クラスⅡb
◦Type 3機器を用いて循環器疾患に合併するSDBの診
断・治療を行う(エビデンスレベルC)
クラスⅢ
◦Type 4機器を用いて循環器疾患に合併するSDBの診
断・治療を行う(エビデンスレベルC)
2 標準・睡眠ポリグラフ検査(PSG)
(表9)
【同義語】
終夜睡眠ポリグラフィー,終夜脳波,終夜ポリグラフ検査

 我が国の医療報酬において睡眠ポリグラフ検査(Polysomnography:PSG)は「他の検査により睡眠中無呼吸発作の明らかな患者に対して睡眠時無呼吸症候群の診断を目的として行った場合に算定できる」とあるが,他の検査とは何かは記載がないため不明である.しかし,前述の簡易検査やSpO2モニターまたはHolter心電図などで異常所見があり,問診などから睡眠呼吸障害を疑わせた場合にはPSGを施行すべきである.

 PSGは,次に挙げる項目を取り付け施行する.
●脳波,眼球運動,頤筋筋電図の記録より睡眠段階を判定する.
●気流,胸腹壁の呼吸運動,SpO2,体位,前脛骨筋筋電図,心電図,いびき,食道胸腔内圧,体温,炭酸ガス分圧などの生体   信号および映像音声を同時記録する.

 これらの情報の解析により睡眠の質,睡眠中の呼吸障害,循環状態,パラソムニアなどの有無を評価する.

 PSG解析では睡眠段階(sleep stage),呼吸イベント,覚醒反応,周期性四肢運動などをスコアリングする.2007年4 月にASMより“The AASM Manual for the Scoring of Sleep and Associated Events”(AASMマニュアル2007)が刊行され,電極装着位置をはじめ新しい判定基準について記述されている.
表9 循環器疾患に伴うSDBの診断・治療のための検査
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