循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Sleep Disordered Breathing in Cardiovascular Disease(JCS 2010)
【ダイジェスト版】
2 中枢性睡眠時無呼吸(CSA)の疫学
 CSAは心不全や脳卒中で比較的多く認められる無呼吸パターンであり,多くの場合,そうした心血管系疾患の結果として出現してくると考えられている.

 特に心不全患者におけるCSAの合併率は高く,21~40%と報告されている.これはOSA合併率とほぼ同じ割合であるが,AHI ≧ 15/hrをカットオフ値とすると心不全の51.9%がSDBであり,そのうちの63%がCSAであったと報告されている.チェーン・ストークス呼吸(Cheyne-Stokes respiration:CSR)は基本的に中枢性睡眠時無呼吸低呼吸に伴う呼吸パターンであり,収縮機能障害,拡張機能障害,各種弁膜疾患などの様々な病態で認められるが,最も多いのが収縮機能障害である.収縮不全例ではチェーン・ストークス呼吸を伴う中枢性睡眠時無呼吸(CSR-CSA)は主要な予後予測因子の1つであり,死亡リスクを2.14倍上昇させる.また,CSRCSA合併心不全患者は,CSR-CSA非合併心不全患者に比べて有意に死亡率,心臓移植率が高い(相対危険度:2.53).心不全患者におけるCSAの危険因子は,男性,心房細動, 年齢≧ 60歳, 低二酸化炭素血症( ≦ 38mmHg)と報告されている.
目次へ