循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Sleep Disordered Breathing in Cardiovascular Disease(JCS 2010)
【ダイジェスト版】
クラスⅠ
◦体位性OSAに対する体位療法(エビデンスレベルB)
クラスⅡa
◦体位性でないOSAに対する体位療法(エビデンスレベ
ルC)
クラスⅡb
なし
クラスⅢ
なし
3 体位療法
(表15)
OSAでは,睡眠中の体位によって無呼吸の程度が増減することが報告されており,睡眠中の体位(側臥位)の維持(体位療法)が有効と考えられる.ただし,長期的な心血管系合併症予防に対する効果については明らかにされていない.また,睡眠中,一定の体位を維持し続けることは通常は困難であり,長期間継続できるかどうかが問題となるが,このような治療コンプライアンスを検証した研究結果は少なく,結果も様々である.
体位の維持を補助するための寝具(枕や背当てクッションなど),装置(背中にテニスボール大のボールが入ったベルト,体位アラームなど)を使用することが可能であり,我が国でも市販されているものが多数あるが,その有効性について明確なエビデンスがあるものは少ない.
体位療法はOSAの治療として非侵襲的であり簡便であるため,他の治療法と並行して(クラスⅡ a,エビデンスレベルC),または他の治療法が困難である場合(特に軽症例,クラスⅡ a,エビデンスレベルC),体位性SASと診断されている症例(クラスⅠ,エビデンスレベルB)に関しては,主観的症状や客観的検査所見の改善を指標にしながらの体位療法は推奨される.
表15 体位療法