循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Sleep Disordered Breathing in Cardiovascular Disease(JCS 2010)
【ダイジェスト版】
4 薬物療法
(表16)
閉塞性睡眠時無呼吸に対する薬物療法として,これまで選択的セロトニン再取り込み阻害薬,三環系抗うつ薬,炭酸脱水素酵素阻害薬,テオフィリン,女性ホルモンなどの有効性が検討されてきたが,現在,閉塞性睡眠時無呼吸に対して,有効性が確立されている薬物療法は存在しない.
炭酸脱水素酵素阻害薬であるアセタゾラミドについては,閉塞性睡眠時無呼吸に有効であるとの報告があり,我が国では睡眠時無呼吸症候群の治療薬として医療保険適用がとれているが,代謝性アシドーシス,電解質異常,しびれなどの副作用が懸念され,長期使用の有効性は確立されていない.
甲状腺機能低下症や末端肥大症に伴う閉塞性睡眠時無呼吸はホルモン補充療法(医療保険適用あり)によりAHI の減少が期待される.閉塞性睡眠時無呼吸の標準治療として確立されている経鼻的持続陽圧呼吸療法は様々な理由で継続が困難な症例が存在するため,閉塞性睡眠時無呼吸に対して有効な薬物療法の出現が待たれる.
表16 OSAの薬物療法
クラスⅠ
◦甲状腺機能低下症や末端肥大症に合併する閉塞性睡眠
時無呼吸に対するホルモン補充法(エビデンスレベル
B)
クラスⅡa
◦アセタゾラミド(エビデンスレベルB)
クラスⅡb
◦選択的セロトニン再取り込み阻害剤(フルオキセチン,
パロキセチン),三環系抗うつ剤(プロトリプチリン),
テオフィリン,女性ホルモン(エビデンスレベルB)
クラスⅢ
なし