循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Sleep Disordered Breathing in Cardiovascular Disease(JCS 2010)
【ダイジェスト版】
6 口腔内装置
(表18)
 口腔内装置(oral appliance:OA)は,閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea:OSA)の治療手段の1つとして広く普及している.就寝時に口腔内に装着し,下顎を強制的に前方へ移動させ固定する装置(mandibular advancement device:MAD)が用いられることが多い.

 我が国においては2004年4 月より,睡眠時無呼吸症候群と診断された患者に対し,治療のためのOAの使用が健康保険の適用となったが,具体的な適用基準は示されていない.作製にあたっては,残存歯,う歯,歯周病,顎関節症の有無などのチェックが必要で,経験を積んだ歯科医が行うべきである.

 現時点でOAの適応基準として妥当と判断されるのは,以下の項目を満たした例であると考えられる.
(1)軽症OSAおよび習慣性いびき症.
(2)軽症~中等症のOSAで,CPAP治療を拒否あるいは継続できない例.

 OAの効果判定を概ね1年後,または病状に変化があった場合に行うことが望ましい.
表18 OSAに対する口腔内装置
クラスⅠ
◦5≦AHI<15(軽症)のOSAおよび習慣性いびき症(非
肥満例)(エビデンスレベルB)
◦5≦AHI<30の(軽~中等症)OSAでCPAP治療を拒
否あるいは継続できない非肥満例(エビデンスレベル
B)
クラスⅡa
◦5≦AHI<30(軽~中等症)のOSAでCPAP治療を拒
否あるいは継続できない肥満例(エビデンスレベルC)
◦AHI≧30(重症)のOSAでCPAP治療を拒否あるいは
継続できない非肥満例(エビデンスレベルC)
クラスⅡb
◦AHI≧30(重症)OSAでCPAP治療を拒否あるいは継
続できない肥満例(エビデンスレベルC)
クラスⅢ
◦中枢性睡眠時無呼吸の症例(エビデンスレベルC)
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