循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Sleep Disordered Breathing in Cardiovascular Disease(JCS 2010)
【ダイジェスト版】
7 外科療法
OSAに対する外科療法は,口腔咽頭の解剖学的な気道狭窄を解除する目的で行われ,軟部組織による気道狭窄を解除する術式と,骨組織による気道狭窄を改善させる術式に大別される.前者では,口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(uvulopalatopharyngoplasty:UPPP)が代表的である.レーザー口蓋弓口蓋垂形成術(laser-assisted uvulopalatoplasty:LAUP)は,UPPPの変法である.扁桃摘出術は扁桃およびアデノイド摘出術(adenotonsillectomy)は主に小児の扁桃肥大,アデノイド増殖によるOSAに対する治療法として行われる.後者の代表として小顎症などの解剖学的異常に起因するOSAに対する顎形成術(maxillomandibular advancement surgery:MMA)が挙げられる.
OSAに対する外科療法は,対症療法である口腔内装置(oral appliance:OA),CPAPに比較して,OSAの根治療法となりうる可能性を持ち,医療経済的に利益が大きい可能性がある.現時点で外科療法の適応基準として妥当と判断されるのは,以下の項目を満たした例であると考えられる.
(1)臨床的に治療を要すると判断されるOSA.
(2)CPAPなどの保存的療法が受容できない.
(3)周術期リスクの低い安定した全身状態.
(4)患者が十分な説明を受け,合併症その他を理解した上で手術を希望する.
術式については,経験を積んだ耳鼻科医,口腔外科医による詳細な検討により決定されるべきである.