循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Sleep Disordered Breathing in Cardiovascular Disease(JCS 2010)
【ダイジェスト版】
3 その他の治療(運動療法など)
 中枢性無呼吸症候群(CSA)は心不全に高率に合併する.CSAによる夜間覚醒や交感神経の活性化が心不全を惹起する一方,心不全に伴う交感神経活性化や循環時間の遅延,肺うっ血がCSAを誘発する.

 CSAの危険因子として,肺毛細管圧上昇,交感神経活性化,男性,高齢,BMI 低値などがある.このことより,男性と高齢者を除いては,心不全の治療を行うことがCSAの予防・治療そのものであることが理解される.

 薬物や各種デバイス以外の心不全治療として重要なものに心臓リハビリテーションがある.心臓リハビリテーションの構成要素は運動療法・食事療法と生活習慣の指導である.

 労作時過剰換気は睡眠時無呼吸の病態と関連すると考えられるが,運動療法により労作時過剰換気が改善されることも報告されており,この点から,心臓リハビリテーションは心不全患者の睡眠時無呼吸症候群を改善される可能性もある.詳細は心臓リハビリテーションガイドラインを参照されたい.生活習慣の改善としては,服薬と減塩の遵守が重要である.

 また,拡張機能障害が主で,頻脈や血圧過上昇が心不全増悪の原因になりやすい場合には,日常生活のストレスに気を付けるような生活指導が重要である.
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