循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Sleep Disordered Breathing in Cardiovascular Disease(JCS 2010)
【ダイジェスト版】
クラスⅠ
なし
クラスⅡa
なし
クラスⅡb
◦Marfan症候群でOSA合併例に対する大動脈拡大予防
を目的としたCPAP(エビデンスレベルC)
クラスⅢ
なし
クラスⅠ
なし
クラスⅡa
◦大動脈解離例に対するOSAスクリーニングのための
SAS簡易検査(エビデンスレベルC)
◦Marfan症候群におけるOSAスクリーニングのための
SAS簡易検査(エビデンスレベルC)
クラスⅡb
なし
クラスⅢ
なし
1 胸部大動脈疾患と睡眠時無呼吸(表37,38)
胸部大動脈解離の症例でAHI の頻度が高いことが報告されている.年齢,性,体格をマッチングさせた高血圧症例と比較分析した前向き比較観察研究であり,BMIや頚周囲径には有意差をみとめないが,胸部大動脈解離症例ではAHI の頻度が有意に高く(28.0対11.1),OSAが重症であることが示されている.OSAに伴う交感神経系の亢進により周期性の夜間高血圧が発症していること,胸腔内圧の強度陰圧化(- 60 cmH2O)が大動脈血管壁ストレス(特に上行大動脈における血管壁圧勾配の増大)に大きな影響を及ぼすことが考えられる.さらに,我が国から,OSAと胸部大動脈拡張の関係について分析した成績が報告されており,OSAを有する群はしからざる群に比べてCTの平均上行大動脈径が5.3mmも大きい(36.8mm対31.5mm)ことが明らかにされている.従来より挙げられている高血圧,糖尿病,喫煙などの危険因子に加え,OSAの大動脈疾患への関与とこその治療について今後の検討が期待される.
表37 大動脈疾患における睡眠呼吸障害のスクリーニング
表38 大動脈疾患に伴う睡眠呼吸障害の治療