循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Sleep Disordered Breathing in Cardiovascular Disease(JCS 2010)
【ダイジェスト版】
1 検査機器
 米国のAmerican Academy of Sleep Medicine(AASM),American Thoracic Society(ATS) とAmerican College of Chest Physicians(ACCP)の3 学会合同による指針は,SASの検査機器をType 1 ~ 4 までの4段階に分類した.Type 1は監視下でのPSGである.簡易検査は表7のようにType 2 ~ 4の3段階にまで分類された.

 我が国の診療報酬上の記載では,「携帯用装置とは鼻呼吸センサー,気道音センサーによる呼吸状態及び経皮的センサーによる動脈血酸素飽和状態を終夜連続して測定するもの」である.そのため,医療保険では,鼻気流,いびき音,パルスオキシメータによる動脈血酸素飽和度(SpO2)の最低3項目を測定できることが必須の条件である.日本での通常のSASの簡易モニターの機器は,米国の指針(表7)に当てはめると,Type 3 またはType4 のどちらかに相当する.

 Type2 を除けば,SASの簡易モニターには脳波記録が含まれないため,夜間の睡眠段階(深度)の判定はできない.そのため,簡易モニターでは正確な睡眠時間が測定できず,真の無呼吸低呼吸指数(apnea hypopnea index:AHI)の算出に限界がある.検査記録時間や自己申告の睡眠時間による問題点を含み,簡易モニターで求めたAHI は,あくまでも推定値であることに注意が必要である.なお,簡易モニターで算出したAHI は,PSGで求めたAHI と区別するため,用語的にRDI(respiratorydisturbance index:RDI)と区別されることがある.
表7 簡易モニターの分類(AASM,ATS,ACCPの3学会合同指針)
Type チャンネル数検査項目(センサー)
2 7以上脳波,眼電図,頤筋筋電図,心電図か脈拍,気流,呼吸努力,酸素飽和度(SpO2)
3 4以上換気か気流(少なくとも2チャンネル以上の呼吸運動か,呼吸運動と気流),脈拍か心電図,SpO2
4 1または2 SpO2 または気流
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